ゼニアのトロピカルは春夏の定番!特徴と進化した派生レーベルを詳しく解説
- ゼニアの「トロピカル」生地の特徴とは?
- 日本ではゼニア生地は向いてないって本当?
- トロピカルは廃盤になった?
- トロピカルはもう買えないの?
春夏用スーツをゼニアのトロピカルで仕立ててみようとお思いの方なら、生地が持つ特徴やトロピカルにまつわる噂の真相が気になるものです。
この記事ではトロピカルの基本的な特徴から噂の真相、さらにはトロピカルをさらに進化させた新レーベルまで詳しく解説します。
ゼニアのトロピカルが春夏用の生地として高い評価を得た理由は、暑い時期でも快適さを追求した機能性とお求めやすい価格が両立していたからでした。
記事内で詳しく解説していますので、是非ご購入の参考に役立ててみて下さい。
ゼニアのほかの生地をチェックしたい方は「ゼニアの生地一覧」も参考にしてみてください。
ゼニアのトロピカルとは
ゼニアのトロピカルとは
- オーストラリア産のスーパーファインウールを使用
- 平織りで吸水性に優れている
このような特徴を持つ、春から夏にかけてのシーズンに適した人気の定番レーベルです。
その一方で平織りという特徴から高温多湿な日本の夏では、シワや表面の波打ちを引き起こしやすく不向きだという意見も散見されます。
ゼニアのトロピカルが持つ特徴を正しく理解すれば、日本の夏でも安心して着用できることがお判りになるはずです。
スーパーファインウールとは
トロピカルに使用されているスーパーファインウールは、高い品質で有名なオーストラリア産の羊毛で作られています。
主な特徴はその細い繊維としなやかさ。
繊維の直径は19.5ミクロン以下で、美しい光沢を持ち手触りも柔らかい高品質な羊毛です。
細い繊維を撚って作った糸(単系)と単糸を2本撚り合せて作られた双系(そうし)という強度の高い糸を使っている点も大きな特徴です。
トロピカルは横糸には単系を、縦糸には双系を用いて織られた生地なので
- 伸びに強く安定性が高い
- 糸の表面積が増えることで吸湿性が向上
- 型崩れしにくい
このような特徴を持っているのです。
平織りとシワの関係性
トロピカルは平織だから日本の夏には不向きだという意見がありますが、織り方が原因でシワや表面の波打ちが起こる訳ではありません。
シワや表面の波打ちが起こるのは、生地が伸びたり縮んだりすることで発生します。
つまり織り方とシワに直接的な因果関係は無く、素材による伸縮性がシワが起こる原因です。
ゼニアのトロピカルは、吸湿性と強度を両立した「糸」を使い平織りしていますので、高温多湿な日本の夏でも快適な着心地を提供してくれるのです。
ウールは伸縮性が高く、伸びてしまっても元の長さへ戻ることで知られています。
つまりシワが発生しても時間と共に回復するので、トロピカルが日本の夏で特別シワになりやすいなどという事は決してありえないのです。
むしろ高温多湿な日本の夏にこそ、ゼニアのトロピカルのような吸湿性に優れた生地が最適です。
トロピカルが廃盤?もう買えないの?
ゼニアは毎年ごとにレーベル(生地)を入れ替えているのをご存知でしょうか。
実は2022年現在時点において、ゼニアではトロピカルが廃盤となっています。
高い吸湿性を持ち、比較的お求めやすい価格帯(過去の販売価格で言えば10万円前後でのお仕立て)で非常に人気でしたが、残念ながら現在は販売をしていません。
とは言え、今後の入れ替えで復活する可能性は当然ありますので、再販された際には是非ともご購入を検討してみて下さい。
ゼニアのトロピカルは、前述でお伝えした通り暑い季節を快適に過ごすための工夫が詰め込まれたレーベルですが、入れ替えで登場した新レーベルはより高いクオリティへと進化を遂げています。
トロピカルと派生レーベル
続いては、トロピカルの特徴を継承しつつも進化した派生レーベルについて解説します。
トロピカルの快適性をバージョンアップした「クールエフェクト」
2010年に登場してトロピカルの後釜として主流になっているのが「クールエフェクト」というレーベルです。
トロピカルが持つ高い吸湿性と軽量性はそのままに、太陽光を80%反射して表面温度を10℃下げて快適性を追求したレーベルとなっています。
高い快適性を実現したのは、生地に施された特殊なトリートメントによるもの。
表面加工と聞くと、品の無いテカテカした人工的な風合いをイメージする方も多いですが、ゼニアのクールエフェクトは自然な仕上がりで高い人気を博しています。
トロピカルの弱点を克服した「ハイパフォーマンス」
ゼニアを良く知る方ならご存知かもしれませんが、「ハイパフォーマンス」は1980年代から販売されている超ロングランのレーベルです。
暑い季節でも100%天然素材のスーツを快適に仕立てることが出来るとして、高い評価を得てきたハイパフォーマンスですが、前述のクールエフェクトにも使用されている加工技術を取り入れて進化した新レーベルとして生まれ変わりました。
トロピカルよりも強い糸を使い、織り方も変えたことによってシワに強く涼やかな質感で着心地の良さと動きやすさが追求されています。
吸湿性はそのままに通気性がアップしているので、夏場でも快適に過ごせるとトロピカルを愛用するユーザーからも高く評価されているレーベルとなっています。
春夏用スーツならトロピカルや派生レーベルを
ゼニアのトロピカルについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
トロピカルはゼニアの春夏スーツの下地を作ったとも言える定番生地で、夏でも快適なスーツを作るなら候補に入れておきたいオススメ生地です。
- トロピカルは春夏用に適した定番生地
- 高い吸湿性と軽量性で夏のスーツに最適
- 2022年現在時点では廃盤(復活の可能性はあり得る)
- 派生レーベルに「クールエフェクト」と「ハイパフォーマンス」などがある
トロピカルはゼニアの春夏用レーベルでも、”快適性”に特化した流れの基礎を作ったパイオニア的な存在だと言えます。
暑い季節を快適に過ごせるスーツを作るなら、トロピカルやその技術を継承した派生レーベルが最も適していると言っても過言ではありません。
残念ながら現在は廃盤となっていますが、今後更なる進化を遂げて再販される可能性は充分に考えられますし、派生レーベルの「クールエフェクト」や「ハイパフォーマンス」もしっかりとトロピカルの機能性を受け継いでいますので安心して選ぶ事ができます。
ゼニアで春夏用スーツを仕立てるのであれば、トロピカルやその派生レーベルを選ぶことで最高に過ごしやすい1着になるはずですよ。
春夏用スーツを仕立てる際には、トロピカルの系譜を意識してレーベルを選んでみることをおすすめいたします。